戦前
札幌グランドホテル 営業開始
昭和9年12月11日、開業。故秩父宮殿下のアドバイスをもとに、北海道初の本格的洋式ホテルとして誕生した札幌グランドホテル。この誕生のいきさつが物語るように、政財界の応接室・会議室として、市民の社交場として、また札幌市や全道に文化を伝える窓口として、その歩みを始めました。
「ホテルでの結婚式(昭和9年)」、「ホテルでのクリスマスパーティー(昭和10年)」などは、人々が初めて触れる身近な西欧文化。折しも、皆既日食観測、陸軍特別大演習、東京との定期航空便開始(昭和11年)など北海道に活気あふれる出来事が続いた頃。こうしたひとつひとつが、人々にとっても、ホテルにとっても、なにもかも初めてのことだったのです。
昭和9年、札幌にホテル結婚式誕生

「この2・3年、札幌では神前結婚が非常に流行ったものだが、今度グランドホテルが出現したところ、神前結婚なんて近代的じゃない…とあって、にわかに男女がホテル結婚へと、華々しく転向行進曲を奏している。「ホテル結婚/グランドホテルの所産」とは当時の新聞が伝える記事(昭和9年12月14日付「北海タイムス」より)。
式も披露宴も新婚旅行も同じ場所でできる便利さ。高層建築ホテルのモダンな雰囲気。時代の視線がホテルへと注がれ始めた。
札幌のホテル初のクリスマスパーティー


陸軍特別大演習の一大イベントに湧く札幌市と、札幌グランドホテル

国の一大行事が北海道で行われることはもちろん、60年ぶりに天皇陛下が来道されることが、当時の札幌を沸かせていたのです。天皇陛下は15日間にわたり、「道庁」をはじめ「札幌神社参拝」など、各所を回られました。北海道を代表するホテルとして誕生した札幌グランドホテルも、外国武官の宿舎としての大役を担い、51室あった部屋すべてが51人の外国武官で埋まるという珍事となりました。このように北海道を賑わせた陸軍特別大演習は、日中戦争勃発によって翌年終了。札幌グランドホテルに戦争という影が重くのしかかってくるのは、その後のことです。
こうして札幌グランドホテルは、北海道初の本格的洋式ホテルとしての足跡をひとつひとつ重ねていくのです。
陸軍大演習での御賜饌(ごしせん)下命

昭和11年10月、北海道を舞台に行われた陸軍大演習。この陸軍最大の年中行事には、大元帥として統監される天皇陛下がおいでになった。この時、演習の後に催されたのが、御賜饌(ごしせん)。天皇陛下より道庁や関係市町村、陸軍の幹部などが食事を賜る、いわゆる野外パーティーだ。その準備一切が、札幌グランドホテルに下命されたのだ。これはたいへん名誉なことで、ホテルの幹部をはじめ洋食部門の調理人全員が札幌神社(現北海道神宮)に参拝して身を清め、無事大任を果たした。

1人分2円20銭で、3,300人分を作った。

(昭和11年10月)
札幌神社

・・・北海道神宮120年史より
明治2年9月1日、開拓三神(大国魂神(おおくにたまのかみ)、大那牟遅神(おおなむちのかみ)、少彦名神(すくなひこなのかみ))を奉ったのが札幌神社の始まり。明治4年現在の円山の地に仮社殿ができた。 開拓史以来、官民あげての尊信をあつめ、神社を中心とした政治において、中心的な役割を果たした。 時代が移り、昭和21年政治や国家的管理を離れ、宗教法人施設として、道民の社、市民の社としての道を歩む事となった(昭和39年10月6日札幌神社は北海道神宮と改称された)。
空の茶屋と江戸前料理
北の迎賓館として、常に一流のおもてなしを心掛けてきた札幌グランドホテル。昭和9年の創業から、そのきめこまやかなサービスとともに、“ホテルの味づくり”にも力を注いできました。西洋料理はもちろん、和食だけでも江戸前・純和食・関西料理など、多彩にご用意する心配りを。こうした中で、本場東京の板前料理をお届けしていたのが「空の茶屋」です。昭和11年、当時5階建てだったホテルの屋上に和室を増築して開業。メニューは、鍋物・椀物・天ぷらなど、気軽にお楽しみいただけるものを揃えていました。


(「北海タイムス」・昭和11年11月1日付)
昭和12年頃の案内パンフレット

昭和12年頃の夏の風景を表紙にしたもの。中は札幌近郊の観光地図を載せており、現在の「ススキノ」を「カフェー街」と称するなど、懐かしい呼び名で記されている。当時、このモダンなパンフレットは、観光客ならずとも目をひくものだった。
国際料理

(「北海タイムス」昭和11年9月15日付)







